EPISODE 1.01

SUMMARY

  • タイタニック号が沈没し、グランサム伯爵の跡継ぎも亡くなった。
  • グランサム卿の遺産は遠縁の弁護士に継がれることとなる。
  • グランサム卿の新しい従者として足の不自由なジョン・ベイツがやってくる。
  • 知らせを受けたクロウバラ公爵がダウントン・アビーにやってくる。

CAST

Hugh Bonneville(玉野井 直樹):ロバート・クロウリー〈グランサム伯爵〉
Jessica Brown-Findlay(うえだ 星子):シビル・クロウリー〔三女〕
Laura Carmichael(坂井 恭子):イーディス・クロウリー〔二女〕
Jim Carter(中村 浩太郎):チャールズ・カーソン〔執事〕
Brendan Coyle(谷 昌樹):ジョン・ベイツ〔伯爵付従者〕
Michelle Dockery(甲斐田 裕子):メアリー・クロウリー〔長女〕
Siobhan Finneran(山本 留里佳):サラ・オブライエン〔伯爵夫人付侍女〕
Joanne Froggatt(衣鳩 志野):アンナ・スミス〔メイド長〕
Thomas Howes(茂木 たかまさ):ウィリアム・メイソン〔第二下僕〕
Rob James-Collier(三上 哲):トマス・バロー〔第一下僕〕
Rose Leslie(鈴木 美穂):グウェン・ドーソン〔メイド〕
Phyllis Logan(沢田 泉):エルシー・ヒューズ〔家政婦〕
Elizabeth McGovern(片貝 薫):コーラ・クロウリー〈グランサム伯爵夫人〉
Sophie McShera(中司 ゆう花):デイジー・ロビンソン〔スカラリー・メイド*1
Lesley Nicol(美々):ベリル・パットモア〔料理長〕
Maggie Smith(一城 みゆ希):ヴァイオレット・クロウリー〈先代グランサム伯爵夫人〉
Dan Stevens(佐藤 拓也):マシュー・クロウリー〔新跡継〕
Penelope Wilton(水野 ゆふ):イザベル・クロウリー〔マシュー母〕
・・・・・
Charlie Cox:〈クロウバラ公爵〉
Jonathan Coy:ジョージ・マレー〔弁護士〕
Lionel Guyett:テイラー〔お抱え運転手〕
Jonathan Jaynes:郵便局長
Perry Millward:新聞配達人
Helen Sheals:郵便局長夫人*2
(その他吹替):藤吉 浩二、坂下 淳、T・ラック*3、行成 とあ
・・・・・
脚本・原案:Julian Fellowes
製作総指揮:Gareth Neame, Rebecca Eaton, Julian Fellowes
プロデューサー:Nigel Marchant
シリーズ・プロデューサー:Liz Trubridge
監督:Brian Percival

TIMELINE

前半は1912年4月15日。コーラが読んでいる新聞から*4
後半の公爵がやってくる場面は同年7月頃か。根拠はネタバレになるので脚注で*5

MENTIONED CHARACTERS

ジミー

Postmaster’s Wife: Jimmy’ll do it when he comes in.
郵便屋夫人:ジミーが来たらやらせるわ。

郵便局で働く男性。

ジェームズ/パトリック

Robert: It seems James and Patrick were on board.
ロバート:どうやらジェームズとパトリックが乗っていたようだ。

クロウリー家/グランサム伯爵の跡継ぎ。オブライエンの台詞*6からジェームズが父、パトリックが息子であることがわかる。

ワトソン

Carson: This is Thomas, first footman. He’s been looking after His Lordship since Mr Watson left.
カーソン:こちらはトーマス、第一下僕だ。彼はミスター・ワトソンが離れてから旦那様のお世話を担ってきた。

元グランサム伯爵付従者。

リンチ

Patmore: Oh, and take that away. Mr Lynch shouldn’t have left it there.
パットモア:おお、それを持っていっておくれ。ミスター・リンチがそこに置いておくはずはないんだ。

男性使用人の一人。役職は次回以降のネタバレになるので注釈で*7

ミンターン卿

Cora: Edith, make sure old Lord Minturn sits down.
コーラ:イーディス、御老体のミンターン卿をちゃんと座らせてあげて。

ジェームズとパトリックの葬儀の参列者。

TODAY’S PHARAOH

ロバートにくっついて階段を一緒に降りてくる。

Robert: Morning, Carson.
Carson: Good morning, my lord.
ロバート:おはよう、カーソン。
カーソン:おはようございます、旦那様。

ロバートとコーラについて庭を歩いている

Robert: She was certainly reluctant to go into mourning.
Cora: Well, she’ll have to, we all will.
ロバート:彼女は喪に服すのを確実に嫌がっている。
コーラ:そうね、でもしなければいけない、皆しなければいけない。

ロバートについて出てくる、吠える

Robert: Welcome to Downton.
Duke of Crowborough: Lady Grantham, this is so kind of you.
ロバート:ようこそダウントンへ。
クロウバラ公爵:レディ・グランサム、ご親切にありがとうございます。

書斎に座っている

Carson: It’s a hard decision, Your Lordship, a very hard decision, but the honour of Downton is at stake.
Robert: Don’t worry, Carson, I know all about hard decisions when it comes to the honour of Downton. Don’t I boy?
カーソン:厳しい選択です、旦那様、とても厳しい選択ですが、ダウントンの栄光が危機に瀕しています。
ロバート:気にするなカーソン、ダウントンの栄光に対する厳しい選択というものは私もよくわかっている。違うかな*8

TODAY’S TABLES

朝食

Robert: Every mountain is unclimbable until someone climbs it, so every ship is unsinkable until it sinks.
ロバート:どの山も誰かが登るまでは前人未到であって、同じようにどの船も沈むまでは不沈船と呼ばれる。

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夕食

Cora: A single man outranks the Holy Grail.
コーラ:独身者は聖杯にも優るんです。

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TODAY’S PHRASE

オン・ファミーユ

Duke of Crowborough: No, I’m terribly flattered to be dining en famille.
クロウバラ公爵:いいえ、私はとても喜ばしく思っています、家族揃ってのオン・ファミーユな夕食会を。

en familleはwith familyを表すフランス語。

TODAY’S PLACES

マンチェスター

Robert: So, Murray, what have you to tell me about the lucky Mr Crawley? Nothing too terrible, I hope.
Murray: I’ve only made a few inquiries, but no, there’s, er, not much to alarm you. Matthew Crawley is a solicitor based in Manchester.
ロバート:それでマレー、幸運なクロウリー氏に関して言っておかなければいけないことはあるのか? ひどいものでないといいが。
マレー:二三の調査した行っていませんが、そういった警告するようなことはありません。マシュー・クロウリーマンチェスターの弁護士です。

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Manchester

ガイエティ劇場

Violet: Such a glare. I feel as if I were on stage at the Gaiety.
ヴァイオレット:とても眩しいのね。まるでガイエティ劇場の舞台に立っているみたいだわ。

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The Gaiety Theatre

ガイエティ劇場はロンドンにあった劇場。

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南アフリカ

Gwen: I expect you saw worse things in South Africa, eh Mr Bates?
Bates: Not worse, but pretty bad.
グウェン南アフリカではもっとひどい光景をご覧になったのですよね、ミスター・ベイツ?
ベイツ:ひどいというものではなかったが、すこし悪い光景だった。

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South Africa

南アフリカはベイツとロバートが従軍したボーア戦争の戦地。詳しくはHistorical Eventsを参照のこと。

ノースブルックス

Mary: Do you realise this is the first time we’ve ever been alone?
Duke of Crowborough: Then you’ve forgotten when I pulled you into the conservatory at the Northbrooks.
メアリー:これが初めて二人きりになったということにお気づきになった?
クロウバラ公爵:それなら僕がノースブルックスの温室に君を引き入れたことを君は忘れてしまったのか。

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Northbrooks

ロンドンの北ハーローにノースブルックスという地名があるようだが、ここを指しているのかどうかは不明。

HISTORICAL EVENTS

タイタニック号の沈没

Thomas: Is it really true?
William: Afraid so.
Patmore: Nothing in life is sure.
トーマス:本当なのか?
ウィリアム:残念ながら。
パットモア:人生ってわからないものだね。

1912年4月15日。イギリス・サウサンプトンからアメリカ・ニューヨークへの処女航海中、大西洋上で氷山と衝突、沈没した。

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タイタニック号沈没の報道

1912年4月16日。冒頭でコーラが読む『The Daily Sketch』紙の一面がその日のもの。

同記事の画像:Facsimile of Daily Sketch of April 16, 1912, Reporting the Titanic Disaster (MHS Record Details: IRN 15863, Inventory number 96891) | Museum of the History of Science

タイタニック号の乗客

Mary: Do we know anyone on board?
Robert: Your mother knows the Asters. At least, she knows him. We dined with Lady Rothes last month. There are bound to be others.
メアリー:乗客に知り合いは?
ロバート:お母さんはアスター夫妻をご存知だ、少なくとも旦那さんは。夫婦でレディ・ロシズの夕食会に先月行ったな。他にも大勢いるだろう。

  

Cora: Isn’t this terrible? When you think how excited Lucy Rothes was at the prospect. It’s too awful for any words. Did J.J. Aster get off? Of course, that new wife of his has bound to have been rescued.
コーラ:悲惨じゃない? ルーシー・ロシズの興奮具合を考えると特に。言葉も出ないわ。J. J. アスターは無事かしら? もちろん彼の新妻は助け出されたでしょうけど。

ジョン・ジェイコブ・アスター4世(1864-1912)はタイタニック号乗船の中で一番裕福とされるアメリカ人。妻のエヴァは助け出されている。

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ルーシー・ロシズことロシズ伯爵夫人ルーシー・ノエル・マーサ・レズリーもタイタニック号の乗客。救助され1956年まで生きている。

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余談だがふたりとも1997年の映画『タイタニック』に登場している。

ボーア戦争

Anna: Perhaps she misunderstood. *9
Mary: No, it was quite plain. O’Brien told her Bates can’t do the job properly. Why was he taken on?
Anna: Oh, he [Mr Bates] was Lord Grantham’s batman when he was fighting the Boers.
アンナ:多分誤解です。
メアリー:いいえとても明白よ。オブライエンが母にベイツは仕事を正しく出来ないと言っていた。どうして彼が従者に?
アンナ:いや、彼〔ベイツさん〕はグランサム卿がボーア人と戦っている時、彼の従卒だったんです

ボーア人と戦」うのは、第二次ボーア戦争(1998-1900)のことである*10

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サー・クリストファー・レン

Violet: Then I do hope you’ll come and inspect my little cottage. It was designed by Wren for the first earl’s sister.
ヴァイオレット:それなら私の小さなコテージにもいらしてください。レンが初代伯爵の妹のために設計したのです。

サー・クリストファー・レン(1632-1723)はセント・ポール大聖堂などを設計したことで知られる建築家。ドキュメンタリー『The Man Who Built London』(2004)で彼を演じたのがロバート役のHugh Bonnevilleである。
実際にロケが行われたByfleet Manorは1686年のものであるため時期は一致する*11

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CULTURAL REFERENCES

タイムズ紙・スケッチ紙

Carson: Do The Times first. He only reads that at breakfast, and The Sketch for Her Ladyship. You can manage the others later if need be.
カーソン:『タイムズ』紙からだ。朝食ではそれしかお読みにならない、『スケッチ』紙は奥様にだ。必要なら他のは後でできる。

どちらも新聞。

ジョン・シルヴァー

Thomas: I can’t believe I’ve been passed over for Long John Silver.
O’Brien: You should’ve spoken up when you had the chance. Don’t make the same mistake next time.
トーマス:のっぽのジョン・シルヴァーのせいで昇進を見送られるなんて信じられない。
オブライエン:機会があった時に言うべきだったのよ。次は同じ間違えをしないようにね。

「のっぽのジョン・シルヴァー」とはロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『宝島(Treasure Island)』(1883年)の登場人物。ジョン・シルヴァーは片足のない海賊で、後に反乱を起こす。
もちろんトーマスがジョン・シルヴァーと指しているのは新しい従者のジョン・ベイツ。

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COMMERCIAL MUSIC

なし

FILMING LOCATIONS

ベイツの乗っている列車

O’Brien: You’re early.
Bates: Came on the milk train, thought I’d use the day to get to know the place, start tonight.
オブライエン:早いのね。
ベイツ:牛乳列車で来ました、昼間に仕事を覚えて夜から初められると思いまして。

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"Kent and East Sussex Railway: Rolvenden–Wittersham Road *12

郵便局

Postmaster’s Wife: Oh, my God.
Postmaster: That’s impossible. I’ll take it up there now.
郵便局長夫人:なんてこと。
郵便局長:まさか。今すぐ持っていこう。

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Bampton, Oxfordshire

トーマスが電報を出したのもここである。

マシュー・クロウリーの家(マンチェスター

Matthew: It’s from Lord Grantham.
Isobel: Really? What on earth does he want?
Matthew: He wants to change our lives.
マシュー:グランサム卿からだ。
イザベル:そうなの? 一体何のご用?
マシュー:僕たちの人生を変えたいそうだ。

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The Charterhouse Square
第1期はこのチャーター・ハウス周辺でのロケが多い。
余談だが『名探偵ポワロ』でポワロが住んでいるホワイト・ヘヴン・マンションのロケが行われたのも広場の反対側のFlorin Courtである(航空写真の右側)。

MISCELLANEOUS

モールス信号

以下の記事によれば冒頭のモールス信号は次の通り。

blog.jgc.org

- --- ・-・・ --- ・-・ -・-・ --・ ・-・ 〔汽笛〕
-・ --・ ・ ・-・ ・-・・ ・・ ・・・ - ・-・-・- ・--- ・-
TO LORC GR
NGER LIST. JA

LORD(卿)となるとCを表す「-・-・」はD「-・・」の誤りで、

グランサム伯爵宛
乗客名簿。ジェー

となる。

おそらく二行目は「乗客名簿上にジェームズ・クロウリーとパトリック・クロウリーの名前あり」ということが書いてあったのだろう。

使用人たちの朝

オープニングの続き、デイジーが地上へ暖炉掃除の道具を持っていき、やがてトーマスを追ってダイニングへカメラが入るシーンは50秒強が一つのカットに収まっている。
カメラ自体も回転するためわかりにくいが、以下のように周っている。

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限嗣相続制

一般的には「長子相続」のほうが馴染み深い単語であるが、「限嗣相続制」は長男だけでなく近親の男性も含めて財産を相続させる制度。
子どもたちそれぞれに分割してしまうとその度に財産は縮小していくため、その所領の維持という点も含めて一人の男性に相続をさせている。 ダウントンの状況で娘に相続させるとなると、娘三人に遺産を分割しようとした耄碌王の話を思い出させるが、関係は全く無いだろう。 グランサム伯爵の場合、娘三人のみで息子がいないため、近親のパトリックが建物・所領を含めて相続する予定だったが、彼が亡くなったため更に遠戚となるマンチェスターの弁護士のもとに話が行く。
英語ではthe entailと言われている。

次回:Episode 1.02

downton-crawley.hatenablog.com

FOOTNOTES

*1:キッチン・メイドと紹介されることが多いが、インタビュー(ネタバレ注意)でMcSheraは「Diasy’s official job title in series one is scullery maid.」と話しているのでそちらを採用した。しかし『英国メイドの世界』など家事使用人研究でも知られる久我真樹氏はtweeny(ハウス・メイドとキッチン・メイドの中間的役職で双方の手伝いを行う。)と紹介しているように、こちらのほうが彼女の仕事内容としてもあっているように思う。

*2:後にMrs Wiganという名前が与えられ、シリーズを通してたまに出てくる

*3:おそらく上から順にマレー、公爵、テイラーだと思うのですがいかがでしょう

*4:詳細はHistorical Events章にて

*5:シビルの台詞に「It’s not for long. Mama says we can go into half-mourning next month and back to colours by September.」とあり、Episode 1.02では半喪服であることから9月より前。ロバートとマシューがその一ヶ月前に会っていることからそれは8月。それ以前なので7月頃。

*6:「But now Mr Crawley’s dead, and Mr Patrick was his only son. So, what happens next?」(でもクロウリーさんが亡くなって、パトリックさんが彼の一人息子よ)

*7:馬丁

*8:ファラオに向かって言っている

*9:ここのsheはオブライエンを指しているのかコーラを指しているのか。後者だとher ladyshipと言いそうなものだが、新聞にアイロンを掛けるシーンでカーソンですらロバートをさして「He only reads that at breakfast」と言っている。

*10:他の話でロバートとベイツがつけている勲章から第二次に関わったものとの推測が可能である

*11:誰の設計かご存じの方は教えて下さい。

*12:とFind That Locationには紹介されている。正確な位置は特定できず。